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はじめに
State of DevOps Reportは構成管理ツールを提供するPuppet社が中心となり、2013年から毎年DevOpsを推進する企業の特徴をまとめた調査です。
書籍『Lean と DevOpsの科学』にその調査の背景情報などが解説されていますが、昨今巷を賑わせている「DX(デジタルトランスフォーメーション」というキーワードが出る前から、開発のスピードが早い企業ほど、事業のパフォーマンスが高い、ということを調査結果から明らかにしていったレポートでもあります。
今回は、そのState of DevOps Reportの2020年版(元ファイルはこちらからダウンロード可能です)で新たに紹介されているプラットフォームモデルについてご紹介いたします。
◆State of DevOps Reportについて
過去のState of DevOps Reportの調査結果から導き出されたこととして、パフォーマンスが良好な組織はそうでない企業と比較して、以下のような結果を出していると言われています(『LeanとDevOpsの科学』より)。
- コードのデプロイ頻度は46倍
- コミットからデプロイまでのリードタイムは1/440
- 平均復旧時間(稼働停止から復旧に要する時間)は1/170
- 変更失敗率は1/5
◆ 2020 State of DevOps Report
1年の殆どがコロナに影響された2020年の状況を反映した、2020 State of DevOps Reportでは、以下の2つの観点を大きな変更点として調査が行われました。特に、プラットフォームモデルが適用されているほど、顧客中心主義でサービス開発が行われるということが今回のレポートでは提唱されています。
●プラットフォームモデル:
プラットフォームがあることで、組織のビジネス要求にあわせ、開発者が簡単に、迅速かつ高い品質の結果を出すことができます。プラットフォームがあることにより、組織全体で、開発部門がセルフサービスで(インフラ部隊との調整なしに)開発をすることができる。
●変更管理へのDevOpsの原則の適用:
ビジネスが求めるスピードにあわせてスケジュールどおりに品質が高くセキュリティ要求に合致したソフトウェアをリリースするために、効率的・効果的な変更管理が必要。
◆ DevOpsの進化モデル
「プラットフォームモデル」が提唱されたと同時に、5つのステージに分けた、DevOpsの進化モデル(DevOps Evolution Model)についても本レポートでは提示されています。いわゆる成熟度モデルのようなもので、DevOps導入あるいは、より改善していく際の指標になりそうです。
ステージ1. 正規化
ステージ2. 標準化
ステージ3. 拡張
ステージ4. 自動的なインフラ提供
ステージ5. セルフサービス
◆おわりに
今回は2020 State of DevOpsで新たに提示された、Platform Model(プラットフォームモデル)について、簡単ですがご紹介致しました。DevOpsというとバズワードのように思われることも多いかもしれませんが、実際にはDevOpsを源流としたソフトウェア開発の手法に関する考え方のヒントがあらゆるところに転がっています。
今回のプラットフォームモデルで提示された、進化モデルについては、自社の立ち位置を理解するとともに、次の一手を考えるフレームワークとして非常に有効だと感じました。また、グローバルのDevOpsの取り組み動向をにキャッチアップし、自社の施策に盛り込むヒントも見つかると思いますので、一度目を通して頂く価値はあるかと思います。
デジタルトランスフォーメーションにおいて、新しいサービスや機能を迅速に顧客に提供し、実験し、拡張するという手法が必要とされています。このような中で改めて、DevOpsという言葉に目を向けていくのはIT部門だけでなくDXを推進するIT担当者の方にとって有用ではないかと思います。
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2021年2月10日にSB C&S様との共同セミナーを開催されました。このセミナーでは、DevOps導入の初期フェーズをまさに現在進められているお客様の事例をご紹介致しました。こちらから当日ご紹介しました資料ダウンロードをしていただけます。