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はじめに

こんにちは。今回は、先日発表しました『デジタル顧客接点トータルサービスに関連して、このサービスを展開するにあたった背景とも言える、『アフターデジタル』で紹介されている、OMOという概念についてご紹介したいと思います。

 

アフターデジタルの概念

アフターデジタル』は2019年に藤井 保文氏、尾原 和啓氏によって執筆・出版された書籍です。本書では、中国でのデジタル活用の事例を紹介しながら、すでに当時中国で取り組まれていたアフターデジタルという世界観について紹介するとともに、日本においてはどのように適用すべきかを提唱しています。出版後に人気を博し『アフターデジタル2』という続編も出版されています。新型コロナ感染症の世界的な流行により、デジタル中心の考え方にマインドチェンジを余儀なくされているなか、改めて気づきの多い内容でしたのでご興味ある方はぜひ読んでいただくと良いかと思います。

 

アフターデジタルとはどういった概念なのでしょうか?”アフター”とありますので、”ビフォア”もあるはずで、その対比で説明されています。具体的には、ビフォアデジタルは、「リアル(店や人)でいつも会えるお客様が、たまにデジタルにも来てくれる」という意味であり、アフターデジタルは、「デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアル(店や人)にも来てくれる」ということです。

 

アフターデジタルの定義

OMOとは

冒頭であえて略称のままにしていましたが、OMOとは一体どういう概念なのでしょうか?

 

OMOは、Online Merges with OfflineやOnline-merge-Offlineの略であり、「オンラインとオフラインが融合し一体のものとして捉えた上で、これをオンラインにおける戦い方や競争原理として捉える考え方」であると言われています。また、OMOは、グーグルチャイナの元CEOで、現在シノベーションベンチャーズを率いる李開復(リ・カイフ)が2017年9月ごろ提唱し始めた言葉で(参考)、2017年12月のザ・エコノミスト誌にて掲載されたことで、広く知られるようになったと言われています。

 

OMOは、スマートフォンが一般的になり、電子決済プラットフォームが広く使われるようになったことが主な原因として発生し、サービス提供者と消費者の接点がデジタル化されたことで実現する概念です。上記の定義の通り、オンラインとオフラインが境目ないように体験されることが、競争力の源泉となるという意味です。

 

また、オンラインの接点が中心となり、データをフル活用し、プロダクトとUX(顧客体験)をどれだけ高速に改善できるかが肝であるとも説明があります。つまり、単にオンラインの接点を静的に作るのではなく、いかに動的にオンラインの接点から得た情報をもとにプロダクト、UXに還元できるかが重要であるということです。さらに、そらを高速に実装していくケーパビリティも必要です。

 

OMOにおける重要なポイント

   1.チャネルの自由な行き来

   2.データをUXとプロダクトに返すこと

   3.リアルも含めた高速改善

 

アフターデジタル_複数のタッチポイント

 

また、上記のようなデータを利活用して顧客体験の向上や新規サービスの立ち上げなどについては、DXレポート2の「第2章 デジタルエンタープライズとデータ活用」にも同じような考え方が書かれています。データドリブンと言った言葉もかなり一般的になってきましたが、このような切り口からも顧客が持つデータは重要であり、そのデータを入手するためには顧客体験を向上しなければならないという理解もできるかと思います。


※DXレポート2の簡単な解説は「DXレポート2』から読み取れる2つのポイント〜DXの取り組みは二極化・PoCの正しい運用の重要性〜」を読んでみてください。

 

顧客体験の入り口となるアイデンティティ

上述のOMOやDXレポート2のデータ活用に関するプレゼンテーションには、アイデンティティ管理の重要性は大きく取り上げられることはないようですが、実際には顧客の体験(UX)の起点となるのはログインの体験だったりします。また、1つのブランドで複数のオンラインサービスを提供している場合や、オフラインでも同じアカウント/アイデンティティを利用するということが顧客体験をシームレスにする一つの重要な要素です。顧客の行動データを利活用するためのデータプラットフォームも必要になるでしょうし、もちろんユーザーインターフェイスの開発なども必要となります。顧客体験の設計には様々なポイントを抑える必要があるのです。

 

アイデンティティ管理は、以下の点で重要です。

  • ログインの体験はユーザー体験の入り口である
  • 複数のサービスへのログイン体験を統一できる

 

また、このような顧客体験という文脈におけるアイデンティティ管理は、Customer Identity and Access Management(CIAM)という技術領域として定義されています。CIAMにおいて機能面でポイントについては、以下のブログ記事にまとめましたのでこちらも合わせてご参考ください。

ブログ記事「Oktaで実現する、顧客接点のデジタル化におけるアイデンティティ管理のポイント

おわりに

今回はアフターデジタルで紹介されたOMOという概念を紹介するとともに、どのようなポイントを抑える必要があるかをご紹介しました。最後にご紹介したアイデンティティ管理に関しては実は盲点だったりする領域であり、アイデンティティ管理に関してはユーザー体験のみならず、セキュリティや可用性*といったことも抑えて置く必要があります。このように、ユーザー体験からログイン管理、など様々なポイントを抑えた上で継続的に改善を行っていくことが必要になります。

*情報漏えいやサービスが落ちたなどの状況はユーザー側に不利益となり、ブランドイメージ低下に繋がりかねないためです。

 

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キャッチ画像は、https://unsplash.com/@jeshoots を活用させていただきました。