背景
MS&ADインターリスク総研株式会社様(以下、インタ総研)は、MS&ADインシュアランス グループにおけるリスク関連サービス事業の中核を担っています。従前よりリスクマネジメントに関するコンサルティング、調査などの事業を展開しています。MS&ADインシュアランスグループ の中期経営計画(2022-2025)では、デジタル技術を活用しながら、社会課題解決やお客さま体験価値向上などを掲げており、インタ総研 は「デジタル・データを活用したリスクマネジメントの中核」として位置付けられています。
昨今、ITシステムがなければビジネスが成り立たないハイパーコネクテッドな時代となる中で、サイバーリスクの脅威はIT企業のみならず様々な業界、様々な企業規模において対応が不可欠な領域になっています。
このような背景のなかで、インタ総研 はデジタルサービスとしてサイバーリスクの脅威を診断することができる膨大なデータとサービスを有する海外企業と連携し、これを活用した日本国内でのデジタルサービス展開を企画しました。
プロジェクト内容
(1)要件定義フェーズ
ビジネス企画含めビジネス要求の整理を行う上流工程では、インタ総研がどのような機能を提供するかをユーザーストーリーマップなどの形式で整理しました。目標とする8ヶ月後のリリースに向けて技術者視点を交え以下の点を早期に明確にする必要がありましたが、ビジネス要求が固まる前の早期のタイミングに参画し、スコープや技術調査を先行して進め、プロジェクトリスクを抑えました。
・リリースタイミングに組み込める機能の定義
ビジネスサイドとして入れたい機能がいくつもあったものの、技術的な観点で開発が間に合うかなどの判断がつきませんでした。TC3が技術観点での検討を行うことで、上流工程で進めていたデザインへのフィードバックをおこなったり、目標とするリリースタイミングで必要となる機能の定義を一緒に進めたりしました。
・海外のウェブサービスが提供するAPIの仕様確認
海外のウェブサービスは英語圏のみをターゲットにしてサービス提供がされていたことや、従来APIを外部に公開していなかったため、このサービスが提供するAPI仕様や活用方法が明らかでない部分もありました。海外経験があるTC3のメンバーが、API提供元開発チームと週次のミーティングやチャットを通じて直接コミュニケーションを行うことで疑問点を払拭していき、要件定義を進めました。
(2)開発フェーズ
弊社の参画はビジネス要件を基にしたシステム設計フェーズからでしたが、1か月以内に開発フェーズへの移行が予定されていました。そこでTC3の強みでもあるスピーディなリソースアサイン体制を活かし、システム設計と並行して開発チームの立ち上げをスムーズに行いました。
また、今回のウェブサービスは、中堅・中小企業を含めて幅広いユーザー向けに提供するので、直感的に操作が出来るかどうかといった、ユーザーエクスペリエンスが重要な位置付けとなっています。特にランディングページにアクセスしてからのユーザー登録のフローについてはビジネスサイドからの要求事項が強くありました。
APIレベルでカスタマイズ開発も可能であるSaaSのOkta CIC(powered by Auth0)を採用し、サインアップ、ログイン、Emailなどの様々な点をビジネスサイドからの要件に合わせてカスタマイズ実装しました。認証機能については作り込みをせず、工数を最小限に開発を進め、追加のカスタマイズ機能についてはローコードで実装できるAuth0 Actionsを活用し短期間で開発を実現しました。また、2024年4月時点では、Okta CICを活用した共通認証基盤上に移行され、1組織複数ユーザーに対応したB2B特有のサービスとしての機能エンハンスが行われました。
成果・結果
上記のようなプロジェクト対応をし、約6ヶ月という開発期間でMVP(Minimum ValuableProduct=最小提供機能)版という形で特定のお客様向けにサービスを公開することができました。またリリース後もTC3のアーキテクトが参画することで、安定稼働、機能追加を安定的に実行し、プロダクトの成長を支援いたしました。サービスとしては一般提供の発表を行い、現在では多くのユーザーが利用を開始しています。
本プロジェクトの成果ポイント
- 早期参画によるリリース可能な要件への整理
- ブラックボックスだった海外ベンダーのサービス仕様を明らかにし、サービスへの組み込みまで実現
- 短い開発期間でのMVP版リリースを実現
お客さまからのお言葉
「海外の提携先がもつ最先端の技術とビジネスのノウハウを取り入れつつ、国内中小企業にも受け入れられる顧客体験の提供と保険会社グループとして求められる高いシステム品質を短期間で実現するという高い要求の中で、TC3の要件定義フェーズにおける技術的な目利き力と、ビジネス要求をシステムに落とし込む実現力により、多くの困難を乗り越えることができました。また、海外の担当者とのやり取りなどもお任せする部分もあり助かりました。今後もこのような案件があればお願いしたいと思います」
ー MS&ADインターリスク総研株式会社 デジタルイノベーション本部 DI企画部 企画1グループ 角田 悠樹様
「TC3の皆さんのプロジェクトに対するフルコミットの姿勢、プロダクトとそれを支える技術に対するプロフェッショナルなこだわりに感銘を受けました。海外の開発者との英語を通したコミュニケーションにおいても、エンジニア間だからこそ交わすことができる対話などを通じて、コミュニケーションロスを防いでいただきました。大変感謝しております。今後とも引き続きよろしくお願いします!」
ーMS&ADインターリスク総研株式会社 取締役 DI本部 副本部長 土井 剛様
おわりに
TC3はウェブアプリケーション開発、特にOkta CIC(Customer Identity Cloud)を代表とするIDaaSを活用したデジタルサービス開発のプロフェッショナルです(参考)。
すでに実践的に設計・実装された基盤を用いることで、事業部やサービス間の調整を減らし、リリースまでの期間を早め、ユーザー体験を向上させるといったメリットの多い開発プランをご提供します。
トライアル・MVP開発の段階から、どのようにIDaaS/CIAMを導入するかについてもサポートさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
詳しくはデジタル顧客接点トータルサービスをご覧ください。
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