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はじめに
TC3はGig Innovated.をスローガンに掲げ、Gig Worker(単発、タスクベースで仕事をする方々)を活用したウェブアプリケーション開発やAI開発の支援をエンタープライズ企業向けに提供しています(参考)。
Gig EconomyやTalent Economyについては毎年新しい潮流がでており、グローバルの動向もキャッチアップしながら、お客様に最適な選択肢を提供するのがTC3のミッションでもあります。そのような中、先日Harvard Business Reviewにて「Do You Need an External Talent Cloud?」という面白い記事をみつけました。今後の人材活用についての一つの示唆になるかと思います。
本ブログ記事では、その内容をかいつまんでご紹介し、TC3のビジョンやサービスについてもご紹介できればと思います。(2024年8月アップデート:ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー 2024年8月号で「企業はオープンタレント戦略で採用難を克服せよ」というタイトルで日本語翻訳版の記事が公開されました)
タレント・エコノミーのグローバルの動向
2023年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から世界中が徐々にコロナ以前の状態に戻ろうとしていましたが、米国の大手IT企業など様々な企業でレイオフの報道が多くあったことが記憶に新しいでしょう。このような背景の中で、2021年3月に行われた31カ国、3万人向けの調査では労働者の約41%が仕事を辞めることを検討していると言われているそうです(HBR記事より)。一方で企業としては人材の不足感がグローバルで広がっている状況で、優秀な人材、適切なスキルを持った人材を確保することが益々難しくなっています。
この動向はコロナやAIの台頭などごく最近の現象に思えるかもしれませんが、2010年前半までのGreat Recession環境下においても同様なことがおき、その頃からGig Economyの活用が浸透してきています。本HBR記事では、Freelancer, Fiverr, Upworkなどが当時出現した適切なスキルを獲得するデジタル・タレント・プラットフォームとしています。
このデジタル・タレント・プラットフォームは現在では、800あるとされており、5億人の人材を供給しているとのことです。
オープン・タレント・モデルとは?
このようなデジタル・タレント・プラットフォームにおける人材を活用し、様々なプロジェクトを完遂することを、本HBR記事では、”open-talent model”と呼んでいます。日本語に訳すと、「オープン人材活用モデル」といったところでしょうか。この「Open-talen model(オープン人材活用モデル)」をうまく機能させている企業は、今までと同じ料の仕事をこなすことができるが、驚くことに4−5倍早く、その仕事を完遂させることができると言っています。
”Companies that embrace the open-talent model get their work done just as well as those that use traditional staffing models—but four to five times faster.”
オープンタレントの活用におけるKPI
この「Open-talen model(オープン人材活用モデル)」を企業内に定着させるためには、専任のCenter of Excellence(CoE)*チームが必要と本記事では提唱し、パイロットプロジェクトなどを通してビジネス成果につながるようなKPIを設定し、トラックしていくことが推奨されています。主なKPIについても本記事では言及されていますので、以下に箇条書きで紹介いたします。
*「Center of Excellence(CoE)」は、特定の領域や専門分野におけるベストプラクティス、イノベーション、知識共有を促進する組織内の集団やチームを指します。
- Time to Hire(採用まで時間)
数時間程度での採用を目指します。少なくとも数日以内の採用を目指します。 - Cost to Hire(採用にかかるコスト)
正社員を採用するための、採用エージェントを活用するコストは正社員の年収の20%が一般的であり、更にそのエージェントが採用活動をする時間もコストです。デジタル・タレント・プラットフォームを活用すると、フリーランスに支払う10%にまで抑えられます。 - Cost(費用)
フリーランスを採用するのと比較して、技術系の正社員を雇用するのには30%多くコストをかける必要があると調査結果から分かっている - Productivity(生産性)
平均的に、特定のプロジェクトのために正社員は5時間割くことができるが、フリーランスの場合には8時間ということが調査結果から分かっている。
新しい潮流(Web3 DAO)
また、デジタル・タレント・プラットフォーム自体も進化しており、TC3ではTopcoderや国内のフリーランスサービスを活用していますが、グローバルではWeb3、特にDAO(Decentralized Autonomous Organization)の考え方を取り入れたプラットフォームも出現しています。
DAOについては以前ブログ記事にて解説しておりますので、こちらとこちらをご参照いただければと思います。
Braintrustという会社はこのDAOの考え方でデジタル・タレント・プラットフォームを運営する会社であり、BrainTrustの社員は数十人規模で53万人の人材を確保しているようです(2023年半分ほど規模縮小しているようです:参考記事)。Braintrustでは、独自のBTRSというトークンをメンバーに付与しています。付与の方法の詳細までは調査しきれていませんが、メンバーが他のメンバーを紹介(Refferal)した際や、コミュニティへのフィードバックなどこのコミュニティへの貢献をした際にBTRSが付与されるイメージのようです。このような先進的かつ、メンバー側が自律的に活動するプラットフォームが、もしかしたら求心力を持ってくることも考えられるのでキャッチアップしていくことも重要になるでしょう。
複数のタレントプラットフォームを活用したビジョン
フリーランスや副業など、フルタイムではない人材を活用するメリットが増える中で、企業は複数のデジタル・タレント・プラットフォームを適宜活用することも本記事では言及されていました。イメージとしては以下のような形でしょうか。
実際には、まず特定の分野でパイロットプロジェクトをやりながら、自社に適切なプラットフォームを選んでいくイメージとなると思います。
おわりに
TC3ではTopcoderをはじめとしたオープン・タレント活用を創業以来の基本思想としています。ウェブアプリケーション開発からAI開発まで様々なプロジェクトに対して、グローバルの人材プールから適切なメンバーをアサインし、スピーディに課題解決、開発を行っています(事例はこちら)。TC3が過去に蓄積したナレッジや、ツールなどを活用し、お客様のオープン・タレント CoEチームの立ち上げなどにご貢献できればと思いますので、お気軽にお問い合わせください。
最後になりますが、グローバルトップ人材を活用したAI課題解決サービス「GigComet」を一部のお客様向けにベータサービスとして提供開始しています。デモ版のご利用、サービス概要については以下からご確認ください!