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2022年からホットになっているWEB3界隈ですが、TC3も注目しているDAO(Decentralized Autonomous Organization)についていくつかのソースを紹介しながら、DAOについての理解を深めていきたいと思います。

ちなみに、TC3では、Gig Economyとの共創のうえでDAOに近い動き方でソフトウェア開発を日々行っています。エンジニアが正当に評価され、中間的な仕事をなくすことにより、依頼側も支払った価値にみあった成果物を手に入れられる世界観を目指しています。

今回は、経済産業省とデジタル庁がまとめているレポートを元にDAOについてもう少し踏み込んでご紹介していきたいと思います。

国・官公庁での動き

2022年の動き

経済産業省のホームページから2022年7月15日、「省内横断組織として「大臣官房Web3.0政策推進室」を設置しました」という発表がありました。省庁横断組織、ということで、複数の省庁がWeb3について注目をしており、法整備などを整える必要があるという意識の表れのように見受けられます。

関連資料を見ますと、マクロレベルで国際経済秩序の再編が起こっており、それに対応する形でWeb3の機会とリスクについてしっかり理解したうえで国レベルでも対応を行っていくということのようです。

その後、2022年の年末には経済産業省とデジタル庁からも報告書がでています。DAOに関する部分をかいつまんでご紹介していきたいと思います。

経済産業省によるWeb3.0事業環境整備の考え方

第10回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会の報告の1つとして、「Web3.0事業環境整備の考え方 -今後のトークン経済の成熟から、Society5.0への貢献可能性まで-」が公開されています。

「この討議資料は、起業家、エンジニア、法律・税務・会計の専門家など約100人以上のプロフェッショナル(国内のみならず在米国や在シンガポール、在UAEの方々等)との半年間の議論を踏まえてまとめたもの」とあるように、海外の有識者も含めてWeb3に関しての情報を収集したレポートとなっています。

本資料ではビットコインやブロックチェーン技術の歴史やそれ自体の仕組みについての紹介からはじまり、現在におけるその可能性まで紹介されていますので、整理された情報としてWeb3にとっかかりのない方にもわかりやすいと思います。

この資料において、社会的インパクトの1つとしてDAOが提示されています。DAOは前回も紹介したように、自律分散型組織の略で、ここでは、DAO”型”とあえてすることで、ブロックチェーン技術を使わなくとも実現可能なものとしています。

例として挙げられている山古志村DAOは、錦鯉のアートをNFT化してその売却益を地方創生の領域で活用したというものです。1つのミッションに対して共感した個人が集まり、ミッションを成し遂げる、クラウドファンディング的な感じもしますが、このような実証実験的取り組みが草の根ではじまっているようです。

また、以下の資料では、Web3の全体像を示していますが、DAOは人材供給の1つのコンポーネントとして見られているようにも解釈できます。

デジタル庁のWeb3.0研究会資料

12月にデジタル庁が主催するWeb3.0研究会の資料として公開された資料は、デロイト トーマツ コンサルティングがまとめた資料のようです。A4で133ページとかなりボリュームのあある資料になっています。調査領域として、以下の4つを対象としており、ここでもDAOが取り上げられています。

  • デジタル資産
  • 分散型アイデンティティ(DID)
  • スマートコントラクトと DAO 
  • 消費者保護・法執行

前回のブログ記事でも紹介したように、自律分散型組織(DAO)は、そのグローバル性やミッションに対しての公正な評価・支払いなどに期待が挙げらますが、一方でDAOのような組織に対して法人格をどのようにつけるべきか、意思決定をどうすべきか、など課題も多く挙げられています。

DAOにおいては議決権が課題の1つとされていますが、「NFT 分野の先進的な DAO とされる Nouns DAO では、創業メンバによる拒否権が設定されており、ガバナンスの分散性と引き換えに悪意ある提案への対応を打っている」の事例やその他の事例ように様々な試行錯誤が行われていることがわかります。また、ほとんどがDeFi領域での実装ということです。

また、法人格がつかないことによるリスクについては、日本においてはより強く意識されており、法整備がまだついてきていないことがこのレポートからわかる。アメリカにおいてはワイオミング州にてDAO法が展開されており、DAOによって集められた人に法人格が付けられるようになっていたりするようです。

本調査からDAO活用(運営側も含む)の課題として、ビジネスモデル、コミュニティ、ガバナンスの3つの観点でまとめられている。特にガバナンス面での課題が目立っているようにみえます。

また、スマートコントラクトの章では、DAOに参加した人への責任範囲をどうするか、現行法に照らし合わせるとどの法人格に近いか、などの検討が行われている。ブロックチェーン含め、Web3の本来の意味合いでのDAOを実現するにはまだまだ時間がかかるものと思われます。

おわりに

今回は2022年7月の「大臣官房Web3.0政策推進室」の発足を皮切りに一気に情報整理が進んだWeb3領域における経済産業省、デジタル庁主催のレポート資料からDAOに関する部分をかいつまんで紹介いたしました。まだまだ課題がある中でこれからも新しいとりくみが様々な領域で進んでいくだろうという期待感も感じました。

TC3は「Gig Innovated.」のスローガンを掲げ、ギグ・エコノミーとの共創を通してソフトウェア開発やAI開発を支援する会社です。ギグ・エコノミーとの共創による開発には、ツール、プロセスなどの観点で様々な課題も存在しています。プロダクト開発もクローズドで進めており、Betaユーザーなども募集中です!(参考:プロダクトサイト

また、このような世界を一緒に作っていく仲間をTC3では募集していますので、カジュアル面談などお気軽にお問い合わせください!(参考:リクルートサイト